昨日の朝日新聞さんの別刷土曜版「be」に、以下の記事が載りました。

(beランキング)教科書に載っていた好きな詩

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 調査の方法 朝日新聞デジタルのウェブサイトで、デジタル会員登録者を対象に7月上旬にアンケートを実施。回答者は1603人。小中学校の教科書や『教科書でおぼえた名詩』(文春文庫)などをもとに、編集者・市河紀子さんの助言を受け、編集部で絞り込んだ約80の日本の詩から、いくつでも選んでもらった。イラストはミヤハラヨウコさん。
 
 「思ったよりよく覚えていて、心の中で情景が鮮やかに浮かぶのに驚きました」(神奈川、52歳女性)。子ども時代や思春期に出会った詩は、意外と心身に染みこんでいるようです。トップ20以外の詩を挙げた方も多く、それぞれの人の心に寄り添ってきた作品があるのだと気づかされました。
 
 つらく苦しいとき、一編の詩に支えられたという体験が数多く寄せられた。その筆頭は、宮沢賢治が病床で記した「雨ニモマケズ」(1位)。神奈川の女性(53)は「友達も少なく消極的で、学校に行くのが苦痛だった。自分に負けないようにこの詩を書き、壁に貼って暗記した」。「震災の翌朝、なぜかこの歌を歌いながら、外回りの片付けをした」と福島の女性(49)が挙げたのは、「ぼくらはみんな生きている」で始まる「手のひらを太陽に」(7位)だ。
 
 大人になってから心に染みてくることも多い。大阪の女性(43)は2位の「道程」に触れ、「習った頃はよく分からなかったけれど、このごろよく思い出す。人生という道程は、誰も踏みならしていない道なき道を行くことなんだとつくづく思う」とつづった。
 
 「解釈は個々に違っていい。テストの問題にされるのが嫌だった」(埼玉、54歳女性)など、学校での教え方への異議もあった。
 
 3位の「君死にたまふこと勿(なか)れ」には、兵庫の女性(52)が「昨年亡くなった母がよく口にしていた。遺品に戦死した母の兄の手紙があり、自分の代わりに子孫を残し、世代をつないでほしいと書かれていた。母の心中を思い、胸が詰まった」と言葉を寄せた。
 
 4~6位は島崎藤村(とうそん)が占めた。「五七調の心地よさや内容に感動し、何度も口に出して覚えた。物忘れがひどい今でも暗唱できる」(千葉、70歳男性)。「ノートに写し、暗唱した。乙女でした」(千葉、43歳女性)、「好きな子のことを思うだけで胸が熱くなった日々」(千葉、55歳男性)といった「初恋」の思い出も。
 
 中原中也の「汚れつちまつた悲しみに……」(15位)は思春期の心を揺さぶった。「高校の時に初めて買った詩集」(石川、46歳男性)、「ひりひりする感覚。生きていたらロックバンドをやっているのでは」(千葉、44歳女性)。中にはこんな人もいる。「ガスレンジが汚れてくると、この詩が浮かび、すぐ磨く。中原さんごめんなさい」(千葉、52歳女性)
 
■「疲れたときも元気になれる」
 「豊かな感受性に、時に心が痛みを覚えることすらある」(茨城、35歳女性)という金子みすゞは、10位の「私と小鳥と鈴と」と並び、「海のなかでは何万の鰮(いわし)のとむらいするだろう」とうたった「大漁」(18位)も人気を集めた。
 
 現代を代表する詩人、谷川俊太郎は「生きる」が20位に。「カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき」と始まる「朝のリレー」(23位)を推す人も多い。「地球規模の壮大な人生賛歌」(千葉、34歳女性)、「朝はつらいけれど、絶え間ないリレーでつながっていると思うと、走者の1人としてがんばらなければと思う」(愛知、44歳男性)
 
 まど・みちお作品も14位の「やぎさん ゆうびん」のほか、「生活に疲れたとき、自分がくまでよかったとうたう『くまさん』を思うと元気になれる」(大阪、47歳女性)、「『てんぷらぴりぴり』を知ったとき、確かにぴりぴりって言うわ~と衝撃だった」(広島、58歳女性)など幅広く挙がった。
 
 29位だったが、茨木のり子の「自分の感受性くらい」との出会いに触れた人が多く、目を引いた。「端的なのにズバリ、心に突き刺さってきます」(兵庫、50歳女性)、「詩といえばもっと穏やかなものと思っていた私にとっては衝撃でした」(大阪、48歳男性)。ほかにも、「黒田三郎の『ひとりの女に』は最高の恋愛詩」(岡山、57歳女性)など、それぞれの心に残る一編が寄せられた。
 
 編集者の市河紀子さんは言う。「教科書で覚えたときは、半ば強制的だったかもしれないけれど、あとからじんわり感じられる、言葉の力はすごい。詩の言葉は、短くて多義的なので、読む人がどう感じてもいい。わかるとか、わからないとか、意味にとらわれず、なんどでも味わってほしい」
 
(佐々波幸子)
 
 ちなみにランキングを文字にすると、以下の通りでした。
 
1位 「雨ニモマケズ」 宮沢賢治
2位 「道程」 高村光太郎
3位 「君死にたまふこと勿(なか)れ」 与謝野晶子
4位 「椰子の実」 島崎藤村
5位 「初恋」 島崎藤村
6位 「小諸なる古城のほとり」 島崎藤村
7位 「てのひらを太陽に」 やなせたかし
8位 「荒城月(こうじょうのつき)」 土井晩翠
9位 「小景異情(その二)」 室生犀星
10位 「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ
11位 「待ちぼうけ」 北原白秋
12位 「あどけない話」 高村光太郎
13位 「からたちの花」 北原白秋
14位 「やぎさん ゆうびん」 まど・みちお
15位 「汚れつちまつた悲しみに……」 中原中也
16位 「雪」 三好達治
17位 「永訣の朝」 宮沢賢治
18位 「大漁」 金子みすゞ
19位 「雲」 山村暮鳥
20位 「生きる」谷川俊太郎
21位 「わたしが一番きれいだったとき」 茨木のり子
 
光太郎作品は、「道程」が2位、「あどけない話」が12位にランクインしています。ありがたや。
 
「道程」の説明として、以下のように書かれています。
 
「僕の前に道はない 僕の後に道は出来る」と始まる詩は全9行。1914(大正3)年の初出時は102行で、最後の一節が基になった。
 
さすが『朝日』さん。よく調べています。
 
雑誌『美の廃墟』初出の102行の形はこちら
 
以前から何度も書いていますが、今年、平成26年(2014)は、詩「道程」執筆、詩集『道程』出版、そして光太郎智恵子結婚披露100周年です。
 
そのあたりもあって、今秋、某テレビ局の某教養番組で、光太郎智恵子をメインに取り上げて下さいます。一昨日は、ディレクター氏に当方自宅兼事務所にお越しいただき、打ち合わせ。昨日はディレクター氏と銚子犬吠埼九十九里への取材に同行いたしました。詳細が発表できるようになりましたら、詳しく書きます。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 8月3日
 
平成15年(2007)の今日、福島県いわき市立草野心平記念文学館で開催されていた「高村光太郎・智恵子展」の関連行事として、安達町(現・二本松市)わがみ会の指導による「ワークショップ 紙絵を作ろう」が開催されました。