福島市在住の詩人、伊武トーマさんからの情報提供です。   
 
まずは先月末のニュース。

飯舘の支援継続誓う 東京で児童、感謝の歌声

 東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた飯舘村を支援する団体・個人の有志による「飯舘村を支援する集い―陽はまた昇る」は22日、東京・神田で開かれ、までいライフをスローガンに復興を目指す同村へのさらなる支援を誓った。
 発起人を代表して飯舘村までい大使の佐川旭さんがあいさつした後、菅野典雄村長が「原発事故から何を学び次の世代にバトンタッチするか。それは成熟社会の中での成長、暮らし方を考えるべきということ」と述べ、これまでの支援に感謝した。出席者を代表し赤坂憲雄学習院大教授、田中俊一原子力規制委員長らがあいさつした。
 集いには、同村の草野、飯樋、臼石の3小学校の4~6年生の児童も出席し、同村の子どもたちのために作られた曲「ときよめぐれ(までいのロンド)」を元気よく歌った。最後には出席者全員で村民歌「夢大らかに」を合唱し、心を一つにした。
(2014年3月23日 福島民友トピックス)
 
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伊武さん、原発事故で全村避難の続く飯舘村の復興支援のため、「ときよめぐれ(までいのロンド)」という歌を作詞されたとのこと。作曲は山根明季子さん。

 
昨年、福島市で演奏された際の記事がこちら。 

明るい未来歌う MFJ音楽祭 追悼と平安祈る

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を願う音楽が鳴り響いた。10日に福島市音楽堂で開かれたミュージック・フロム・ジャパンの「2013年音楽祭・福島」。被災者に寄り添い、本県の明るい未来を祈る楽曲が次々と披露され、県民を励ました。
 飯舘村の小学生が歌った「ときよめぐれ(までいのロンド)」は、村民が1日も早く村に帰れるように-との思いが込められている。〈未来の子よ はばたけ〉。福島市の詩人伊武トーマさんによる前向きな歌詞が子どもたちの明るい歌声に乗り、会場を温かく包んだ。
 舞台に立った臼石小4年の細杉利樹君は「飯舘のことを忘れないでほしいとの気持ちで歌った」と話した。草野小4年の佐藤由美さんは「たくさんの人に聴いてもらい、うれしい」と涙を浮かべた。
 福島市出身の詩人長田弘さん、郡山市出身の作曲家湯浅譲二さんが作った「おやすみなさい」も感動を呼んだ。犠牲者の追悼と平安の祈りが詰まった曲で、会場に駆け付けた2人にはひときわ大きな拍手が送られた。
 他に、俳人黛まどかさん作句、嶋津武仁さん(福島大教授)作曲の「飯舘の四季・四句」、詩人若松丈太郎さん(南相馬市)作詞、佐々木冬彦さん作曲の「ひとであるあかしとして」などが演奏された。
 飯舘村から福島市に避難している看護師相良久美子さん(51)は「村の子どもたちが元気に頑張っている様子が伝わってきて、感動した」と話していた。
 音楽祭に先立ち、村の小学生を対象とした雅楽のワークショップが開かれた。
(『福島民報』  2013/02/11 12:27 )
 
一昨年になりますが、何と、ニューヨークでも演奏されたそうです。

飯舘村の子どもたちに歌を NYのコンサートで初披露

 日本の現代音楽普及に努める団体「ミュージック・フロム・ジャパン」(理事長・三浦尚之福島学院大教授)のコンサートが19日、前夜に引き続きニューヨーク市内のホールで開かれ、東京電力福島第1原発事故で全村が避難生活を余儀なくされている福島県飯舘村の子どもたちのために作られた歌が初めて披露された。
 「ときよめぐれ(までいのロンド)」(伊武トーマ作詞・山根明季子作曲)で、ニューヨーク育英学園合唱団の児童約25人が、自分たちで考えた振り付けも交えピアノの伴奏で歌った。子どもたちに悲しみを乗り越え、羽ばたいていくよう呼び掛ける内容。
2012/02/20 11:30   【共同通信】
 
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「までい」とは、NHKキャスター大越健介さんのブログによれば、以下の通りです。
 
4月末に訪れた飯舘村の村長室は、「までい」という聞き慣れない言葉であふれていた。机に積み重ねられた書類の中に、壁に張られたポスターの中に。
「までい」とは、福島県のこのあたりの方言だそうだ。菅野典雄村長は、「漢字で書くと、『真手い』という字があたるのかなあ」と語る。真心をもって手で大事にくるむような気持ち、くらいの意味だという。
飯舘村は、「までい」な村づくりを合言葉にしてきた。人の絆を大事にし、ゆったりした田舎暮らしを楽しむ村にしようと。しかし、その取り組みが軌道に乗りかけた時、原発事故によって村の暮らしは大きく捻じ曲げられた。
 
その「までい」を盛り込んで作られた伊武さん作詞の「ときよめぐれ(までいのロンド)」。歌詞は以下の通りです。

 
前を向いて 歩いてゆこう000
道に花が 咲いている
にぎりしめた こぶしをひらき
めぐれめぐれ ときよめぐれ
てのひらの 花よ咲け
ふるさとの道に

顔を上げて 立ち止まってみよう
空に鳥が 飛んでいる
このかなしみを ときはなち
めぐれめぐれ ときよめぐれ
未来の子よ はばたけ
ほんとうの空に

手に手をとって 輪になって踊ろう
あなたがいる わたしがいる
いのちのリズム きざんで
めぐれめぐれ ときよめぐれ
名もなき花よ ひらけ
までいの里に
 
ある意味お約束ですが、光太郎の詩「あどけない話」中の「ほんとの空(ほんとうの空)」の語が使われています。
 
音楽や詩、こうしたものは一種無用のものかもしれません。無くても生きていけるものですから。しかし、こうして人々の心に訴えかけ、復興支援に一役かっています。ほんとかどうかよくわかりませんが、「歌う」の語源は「訴える」の古語「訴ふ」だという話を聞いたこともあります。
 
今後とも、歌を通し、詩を通じての復興支援、続けていっていただきたいものです。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 4月12日

明治25年(1892)の今日、東京日本橋の「綱島亀吉」から、錦絵「楠公銅像之図」が発行されました。
 
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光雲が制作主任となり、東京美術学校総出で皇居前広場に作られた楠木正成の銅像です。竣工は明治26年(1893)。つまりこの錦絵、正式な像の完成除幕より早く発行されています。気の短い江戸っ子気質の表れでしょうか。
 
人々の服装が何ともレトロでいい感じですね。当方、額に入れて書斎のインテリアにしています。