昨日のインターネットサイト『産経ニュース』の福島版に以下の記事が載りました。『産経新聞』さんの福島版にも載ったのでしょうか。 

道程刊行と結婚100周年 智恵子の生家・智恵子記念館

日本百名山の一つ、福島県の安達太良山を眺めるとき、雄大な山の美しさだけでなく、その広い大きな空に魅せられる。澄んだきれいな青い空が、もう一つの主役-。高村光太郎の詩集「智恵子抄」の『あどけない話』に登場する妻、智恵子の語る「ほんとの空」が、そこにはある。
  
 《智恵子は東京に空が 無いといふ、
 ほんとの空が見たいとい ふ。
 〈略〉
 智恵子は遠くを見ながら 言ふ。
 阿多多羅山(あたたらや ま)の山の上に
 毎日出てゐる青い空が
 智恵子のほんとの空だと いふ。》(青空文庫「智恵子抄」より抜粋)
  
 智恵子抄では、『樹下の二人』にも、安達太良山や阿武隈川が歌われている。
 
 ■裕福な少女時代
 智恵子は明治19(1886)年、福島県油井(ゆい)村(現在の二本松市)の酒蔵で生まれた。
 生家はいったん売却され、民家として使われていたが、今は当時の姿を再現し、土蔵があった裏庭には、「二本松市智恵子記念館」が併設されている。
 智恵子記念館によれば、智恵子は、油井小学校高等科、福島高等女学校を経て、日本女子大に進学。卒業後、実家には戻らず、洋画家の道を歩み始める。同44年に初めて光太郎のアトリエを訪ね、翌年から光太郎が智恵子に向けた詩を書くようになった。
 そして、今から100年前に当たる大正3(1914)年10月、光太郎が詩集「道程」を世に出したのをきっかけに12月、2人は結婚生活をスタートした。
 智恵子の生家のそばで、同11年に開業した理髪店の3代目、熊谷健一さん(63)は「智恵子のまち夢くらぶ」代表を務める。理髪店は、「先代の頃は、智恵子の父も常連客だった」(熊谷さん)という。
 夢くらぶは平成17年1月に活動を開始し、10年目を迎えた。智恵子に関する私的な研究会だが、熊谷さんらは、旧安達町の商工会青年部のメンバーとして昭和60年代から生家の保存運動を進め、同4年の記念館設立にこぎつけるなど、「智恵子の里」づくりに貢献してきた。
 
療養に訪れた故郷
 今でこそ、道の駅もでき、たくさんの智恵子抄ファンが訪れるものの、熊谷さんは「智恵子の生家の長沼家は破産し、智恵子は末期に精神的な病気を患ったことから、町も『智恵子の故郷』をアピールすることに積極的でなかった」と打ち明ける。
 智恵子は、自らの芸術活動の行き詰まりの中で、昭和4(1929)年の生家の破産と一家離散をきっかけに同6年、46歳のときに統合失調症を患う。翌年、自殺未遂を起こし、同8年に光太郎と東北旅行に出た。
 2人は東京出発前に正式に籍を入れたため、油井村役場に智恵子の除籍に訪れた。「朝、役場が開く時間まで、2人が安達太良山を望む鞍石(くらいし)山を歩く姿を油井小学校に登校する子供が見ており、その道は今、愛の小径として整備されている」(熊谷さん)。
 智恵子は、母や妹一家のいる千葉県九十九里海岸で療養生活を送った後、都内のアトリエに戻り、間もなく入院。そこで制作した千数百点の紙絵を遺作として、同13年に53歳の若さで死去。3年後に、光太郎が「智恵子抄」を刊行した。
 今年は「道程」の刊行と結婚100周年、夢くらぶ発足10周年の記念の年。10回目を迎える智恵子のゆかりの場所を歩く「好きです智恵子青空ウオーク」(4月20日)、生誕祭と道程朗読会(5月18日)など、多くのイベントが開かれる。
 【メモ】東北自動車道・二本松インターチェンジから約10分、JR安達駅からタクシーで約3分、二本松駅から約8分。福島交通八軒町(はちけんまち)バス停から徒歩2分。問い合わせは智恵子記念館(二本松市油井)(電)0243・22・6151、智恵子のまち夢くらぶ(熊谷代表)(電)0243・23・6743。
 
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このブログで何度もご紹介している「智恵子のまち夢くらぶ」さんが大きく取り上げられています。
 
さらに「道程刊行と結婚100周年」という見出しもありがたいと思いました。光太郎・智恵子顕彰の今年のツボですので。
 
昨日のこのブログでは、その「道程刊行と結婚100周年」の節目の連翹忌案内を載せました。広く参加者を募ります。参加資格はただ一つ「健全な精神で光太郎・智恵子を敬愛している」ということのみです。お申し込み下さい。
 

【今日は何の日・光太郎 補遺】 2月22日無題1

昭和58年(1983)の今日、郷原宏著『詩人の妻 高村智恵子ノート』が刊行されました。
 
すぐれた智恵子評伝の一つです。
 
帯文より。
 
智恵子伝説を解読する――
詩人高村光太郎の妻であり、名詩集『智恵子抄』のヒロインでもあるひとりの女の生涯を通覧することによって、詩人とその妻の関係の真相をミステリアスに究明する長編評伝。
 
未来社刊。2014年現在、いまだに新刊で手に入ります。