新刊です。
森の詩人 日本のソロー・野澤一の詩と人生
野澤一著 坂脇秀治解説 彩流社刊 定価1,600円+税

彩流社さんサイトから。
山梨県四尾連(しびれ)湖畔の小屋にひとり暮らし、詩と詩作に明け暮れた青年がいた……
《日本のソロー》野澤 一(はじめ)の『木葉童子詩経』から素朴で澄明な、心優しい詩をセレクション。
1904(明治37)年生まれの野澤一は、法政大学在学中にヘンリー・D・ソローに触発され、山深い湖畔での独居生活を実践。
野山をかけ、生き物を慈しみ、思索し、そして詩を詠んだ。高村光太郎への200 通に及ぶ手紙でも一部に知れられる稀有な詩人の、知られざるひととなりの詳しい解説をも付す。
《日本のソロー》野澤 一(はじめ)の『木葉童子詩経』から素朴で澄明な、心優しい詩をセレクション。
1904(明治37)年生まれの野澤一は、法政大学在学中にヘンリー・D・ソローに触発され、山深い湖畔での独居生活を実践。
野山をかけ、生き物を慈しみ、思索し、そして詩を詠んだ。高村光太郎への200 通に及ぶ手紙でも一部に知れられる稀有な詩人の、知られざるひととなりの詳しい解説をも付す。
野澤 一(ノザワ ハジメ)
1904(明治37)年生まれ。24 歳のとき、四尾連湖で生活するために法政大学を中途退学。5 年近くの独居生活を経て東京に戻り、湖畔在住中に書きためた詩約200 篇をまとめ『木葉童子詩経』と題し自費出版。1945(昭和20)年、終戦をみることなく41 歳の若さで病没。
野澤の詩は、文治堂書店さんから平成17年(2005)に復刻された『木葉童子詩経』で読んだことがありましたが、今回のものには坂脇秀治氏による40ページ近い解説が載っているということで、購入しました。
野澤は山梨県出身の詩人で、法政大学中退後、数え26歳の昭和4年(1929)から同8年(1933)まで、故郷山梨の四尾連湖畔に丸太小屋を建てて独居自炊、のち上京しています。昭和14年(1939)から翌年にかけ、面識もない光太郎に書簡を300通余り送りました。いずれも3,000字前後の長いもの。坂脇氏曰く「光太郎からの返信は数通あったようだが、ほぼ一方通行の文通だった。」とのこと。
光太郎はその野澤に関し「あの人の文章は癖のある文章ですが、とにかくちょっとほかの人には見られない稀らしい才能を持った人なんですね。」と語り、昭和15年(1940)に書いた「某月某日」というエッセイで、野澤を激賞しています。4月2日の連翹忌には、ご遺族の方にご出席いただいております。
その詩も独特のもので、戦前の作ながら、もはや「近代詩」の枠には収まりきれず「現代詩」の範疇に入るのでは、と思われます。そんな野澤が心の師と仰いだのが、アメリカの詩人、ヘンリー・D・ソロー。エコロジストとして名高い詩人です。そこで本書では副題に「日本のソロー」とあるわけです。
それから野澤は「現存している詩人でぼくが尊敬しているのは高村さん一人くらいです」と述べています。
そんな野澤の詩が32編、おそらく四尾連湖と思われるたくさんのモノクロ写真(これがまたいい感じです)とともに紹介されています。
ぜひお買い求めを。
【今日は何の日・光太郎】 12月27日
昭和27年(1952)の今日、中野のアトリエの大掃除をしました。駆けつけた詩人の藤島宇内、十和田湖畔の裸婦像製作の助手・小坂圭二が手伝ってくれました。
年の瀬といえば大掃除ですね。しかし当方、まだ大掃除らしい大掃除をしていません。昨日も国会図書館さんに行っていましたし……(汗)。