先日、このブログ内の【013今日は何の日・光太郎】で、十和田湖畔の裸婦像(通称「乙女の像」)除幕式について書きました。

そちらが昭和28年(1953)の10月21日ということで、今年は60周年を迎えたわけです。そこで、地元・十和田では60周年を記念して、いろいろと顕彰活動が行われています。
 
例えば記念講座
 
 
さらに智恵子忌日・レモン忌へのご参加。

などなど。
 
来年には「子供たちにも理解できるもの」ということで、マンガによるガイド本の作成が企画されているそうです。
 
当方、レモン忌会場にて十和田の皆さんの知遇を得、お手伝いをすることとなりました。
 
その関係で、「研究の資料となれば」ということで、十和田市のまちづくり支援課様からDVDが送られてきまして、早速拝見しました。
 
驚きました。なんと昭和28年10月21日に行われた、裸婦像除幕式の模様を撮影した動画が入っていたのです。
 
元は青森県の社会教育センターに保管してある16㍉フィルムで、約8分間の動画です。はじめは同じ日に除幕された奥入瀬渓谷・銚子大滝の佐藤春夫詩碑除幕の様子。続いて裸婦像除幕式の模様でした。
 
残念ながら音声はないのですが、銚子大滝でも十和田湖畔でも、立って歩いて喋っている光太郎の姿が映っています。
 
光太郎が写っている動画としては、同じ年にブリヂストン美術館が作成し、翌年公開された「美術映画 高村光太郎」というものがあり、こちらは有名です。先日のNHKさんの「日曜美術館」でも、「こういうものがありますよ」とお教えし、番組内で使ってもらいました。それが唯一、生前の光太郎の写った動画だろうと長らく思っていたところに、除幕式の動画があったということで、非常に驚いたわけです。
 
戦時中の大政翼賛会中央協力会議を撮影した動画も現存しますが、光太郎が中心に写っているカットはないようで、写っているとしても隅の方だと思われます。
 
ちなみに除幕式の動画には、佐藤春夫、谷口吉郎(裸婦像台座設計者)、津島文治(太宰治実兄・当時の青森県知事)、藤井照子(裸婦像制作時のモデル)、そして草野心平の姿も。銚子大滝のカットでは、心平、足下の覚束ない佐藤春夫の手を引いて歩いています。佐藤春夫碑についてはこちら
 
DVDが届いたのが川内村の「かえる忌」前日で、当方講演の中に心平と光太郎の交流の一つとして裸婦像の件も話す予定でしたので、不思議な縁を感じました。
 
当日の光太郎のスピーチが載った青森県の『教育広報』の存在を知ったのも数年前ですし、同時に地元紙などに載った光太郎郎談話もいくつか見つけてはいます。ただ、まだまだ地元にはこの手の資料が眠っていそうな気がするので、これを機に調べてみようと思っています。
 
ところで裸婦像。先週の『デーリー東北』さんで紹介されました。 

十和田湖畔に紅葉シーズン到来(2013/10/23 08:49)

 十和田八幡平国立公園の十和田湖畔が紅葉シーズンを迎え、全国から訪れる観光客らが木々の色づきを楽しんでいる。十和田湖国立公園協会によると、22日現在は5割程度。見頃は今月末まで続く見込みだ。
 同日の休屋地区は曇りで時折小雨がぱらついた。湖畔のシンボルで建立から60周年を迎えた高村光太郎作による乙女の像周辺の樹木も黄や赤に染まり始め、観光客を引き付けていた。
 乙女の像と同じ〝還暦〟を記念し、夫婦で旅行に訪れた埼玉県上尾市の会社員赤尾友康さん(60)は「秋に来たのは初めて。すごくきれい」と喜んだ。
 
イメージ 2
 
本当に、多くの人でにぎわってほしいものです。
 
【今日は何の日・光太郎】 10月28日

昭和62年(1987)の今日、草野心平が文化勲章受章者に選定されました。
 
心平がらみのネタが続いたところで、今日のこのエピソード。これも不思議な縁を感じます。
 
たびたびこのブログでご紹介している二本松出身の画家・大山忠作も文化勲章受章者ですが、氏の伝記『安達太良の虹―大山忠作伝―』(2012 栗城正義著 歴史春秋社)によれば、福島県出身の文化勲章受章者は5人しかいなかったそうです(今年、郡山出身の磁気記録工学研究者・岩崎俊一氏が選定されたので6人目)。そのうち2人が光太郎と縁があるというのも面白いですね。