昨日、箏曲奏者の下野戸亜弓さんの新しいアルバム「万葉の恋歌 箏歌〈Koto Uta〉をうたう」をご紹介しました。
 
他にも光太郎がらみの箏曲作品などを収めた音盤、楽譜類がいろいろあるのでご紹介します。

日本の唄 友渕のりえの世界

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平成3年(1991)リリースのCDです。廃盤となっており、入手は困難かと思います。
 
下野戸さんの「万葉の恋歌 箏歌〈Koto Uta〉をうたう」にも収録されている小山清茂作曲「樹下の二人」が収められています。唄と箏は友渕さん。
 
もともとこの曲は昭和50年(1975)、友渕さんにより委嘱されて作られたものです。
 
その楽譜がこちら。

赤土になる妹・樹下の二人

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昭和52年(1977)全音楽譜から刊行。こちらは現在でも入手可能です。
 
 
楽譜、といえば当方、こんなものも入手しました。

坂本勉作曲箏曲楽譜 地上のモナ・リザ

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光太郎の詩「地上のモナ・リザ」に曲を付けたもので、楽譜自体の刊行は昭和54年(1979)。初演は光太郎存命中の昭和30年(1955)に京都で行われたそうです。解説によると、「独唱・合奏からなり、さらに洋楽器を加えた、邦楽的なオーケストラと、合唱のための曲」とのこと。
 
カセットテープも販売されています。
 
この時のプログラム、パンフレット等を探していますが、なかなか見つかりません。情報をお持ちの方はご教示いただけると幸いです。
 
先述の「樹下の二人」の楽譜はまがりなりにも五線譜で書かれています(それでも一般的な器楽や声楽の楽譜とはいろいろ異なりますが)ので、判読できます。しかしこちらは箏用の楽譜で、さっぱりわかりません。暗号のようです(笑)。

 
もう一点、別の曲が収められたCDです。

人間国宝 米川敏子 箏の魅力~オリジナル作品編

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題名の通り、人間国宝に認定された箏曲奏者・米川敏子さんのCDです。こちらも廃盤ですが、通販サイトなどでぎりぎり在庫が残っているようです。平成9年(1997)の発行。元はアナログレコードだったものの覆刻のようです。
 
やはり光太郎存命中の昭和28年(1953)に作曲され、その年の芸術祭奨励賞を受けた「千鳥と遊ぶ智恵子」が収められています。演奏は箏高音・米川敏子、十七絃・米川裕枝、ソプラノ・長門美保となっています。

さらにもう一点。

現代箏曲 清水脩作品集

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LPレコードで、発行年は不明です。
 
昭和34年(1959)に作曲された「智恵子抄より」が収められています。箏・松尾恵子、伴奏・ルビーノ・アンサンブル、歌詞ではなく朗読で竹脇無我さんと栗原小巻さん。ラインナップは「人に」「晩餐」「樹下の二人」「狂奔する牛」「千鳥と遊ぶ智恵子」「梅酒」です。復刻版CDが出ているようです。

 
さまざまな方が光太郎智恵子の世界を表現して下さっていて、ありがたいかぎりです。

 
【今日は何の日・光太郎】 9月12日

昭和54年(1979)の今日、『読売新聞』で、千駄木の高村家から光太郎の姉・咲の膨大な画稿と光太郎の臨画5点が発見されたことが報じられました。
 
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光太郎の臨画は全て明治30年(1897)前後のもの。東京美術学校に入学したのが明治30年、数え15歳。その前年には美校の予備課程的な共立美術学館に通っています。その頃に学校の課題として描いたものと推測されますが、少年の作品とは思えない出来ですね。