最近入手した資料を紹介します。こういうものもあるんだ、という参考にして下さい。 

作家画家の温泉だより ポケット四季の温泉旅行

昭和31年(1956)9月15日 自由国民社発行
 
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光太郎没年の秋に刊行されたものです。おそらく、同じ年4月20日に同じ自由国民社から刊行された『旅行の手帳26 作家・画家の温泉だより/百人百湯』と同一の内容と思われます。
 
四十八人の文学者や芸術家が日本各地の温泉を紹介するもので、光太郎が「ここで浮かれ台で泊まる 花巻」で花巻周辺の温泉地を担当しています。『高村光太郎全集』によれば、歿する一月半前の2月25日に語った内容の談話筆記で、談話筆記としては最後のものです。
 
紹介されているのは志戸平温泉、大沢温泉、鉛温泉、西鉛温泉、花巻温泉、台温泉-まとめて花巻温泉郷。日記や書簡によれば、花巻で暮らした7年の間に、光太郎はたびたびこれらの温泉に逗留しました。老境に入り、結核も病んでいた光太郎にとって、これらの山の出湯(いでゆ)は何よりの妙薬だったのかも知れません。
 
さて、『作家画家の温泉だより ポケット四季の温泉旅行』。光太郎の花巻以外にも、中山義秀の裏磐梯、榊山潤で岳温泉、鹿島孝二が塩原、野田宇太郎による川原湯、市川為雄筆の草津、渋沢秀雄が小湧谷、中谷健一は水上など、光太郎智恵子も訪れた温泉レポートが満載です。
 
何だか温泉に行きたくなってきました(笑)。