都内から、ちょっと変わった演奏会の情報です。

和編鐘コンサート in 代々木能舞台 響きにつつまれていのちの煌めきの中へ 智恵子抄 愛と絆の調べ

期 日 : 2021年10月31日(日)
会 場 : 代々木能舞台 東京都渋谷区代々木4-36-14
時 間 : 開場13:00 開演13:30
料 金 : 前売り4,000円 当日4,500円

出 演 : ゆきね(和編鐘) 河崎卓也(朗読) 田中泉代賀(箏)
演 目 :
 第一部 和編鐘で奏でる日本の音風景「日本の詩と季節の音風景」
   一、水の源 二、春ざわめく 三、音紋様 四、時つもりゆく 五、呂律の調べ
 第二部 智恵子抄「愛はすべてをつつむ」
   一、僕等 二、樹下の二人 三、千鳥と遊ぶ智恵子 四、レモン哀歌 五、亡き人に

今なぜ智恵子抄なのか?
 今、人を愛するという私たちが持つ自然な情動が、己の「いのち」を守るという生存のため、他人の命を脅かさないため、大きな枷をはめられています。しかしだからこそ、私たちは心の触れ合いという愛の形と、深い愛情から生まれた心の絆が、大きな安らぎと幸福、そして強さをもたらしてくれることを、智恵子と光太郎の詩に見いだすことができるのです。私の若き日の愛読書であった智恵子抄。今も愛することの凄さと、尊さを教えてくれます。
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「和編鐘」というのは、中国2400年前の祭器、編鐘(へんしょう)を日本的にアレンジしたものだそうで、枠に逆さに吊り下げた銅合金製の39個の鐘(3オクターヴ)を、マレット等で叩いて音を鳴らすものだとのこと。

今回演奏されるゆきね氏が、現在の形に確立されたそうです。


幻想的な中にも、郷愁を誘う響きですね。

この調べに乗せての「智恵子抄」。さらに箏曲演奏も入るようで。いったいどういう感じになるのか、楽しみです(当方、チケット購入いたしました)。

皆様もぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

「せんてつ」の鈴木氏松雲閣の女中八重樫さんと同道来訪、詩稿のこと、林檎等もらふ、これはねながら話す。


昭和26年(1951)2月21日の日記より 光太郎69歳

001せんてつ」は当時の国鉄の仙台鉄道管理局が発行していた社内誌のようなもの。「鈴木氏」はその編集に当たっていた鈴木肆郎。光太郎に詩の執筆依頼にやって来ましたが、これは断られ、代わりに旧作を転載することは了承を得たようです。

八重樫さん」は八重樫マサ。光太郎がたびたび泊まった花巻温泉松雲閣の仲居さんでした。松雲閣の宿泊客等を、光太郎が蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋に案内する役目をたびたび務めました。

その労苦に応え、光太郎は八重樫に書の揮毫を贈ったりもしています。

左端が八重樫、右の二人は、仙台ご在住の佐久間晟氏、すゑ子氏ご夫妻。この年11月の撮影です。晟氏は前田夕暮門下の歌人で、その後、宮城県歌人協会の会長も務められました。すゑ子夫人も歌人。お二人とも歌誌「地中海」同人で、光太郎訪問の貴重な回想を書かれました。