我々の世代が小中学生だった頃と較べ、学校給食もだいぶ様変わりしているようです。「食育」という部分が強調されたり、地産地消にこだわったりといった取り組みは、けっこう以前から行われていたようです。或いは、子供たちの意見を取り入れた献立の実施なども。

さて、智恵子の故郷・福島県二本松市、旧安達町。こちらは安達学校給食センターさんが調理等に当たられているようですが、9月22日(水)は「ほんとの空献立」だったとのこと。

言わずもがなですが、『智恵子抄』所収の光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)に出てくる「ほんとの空」の語を冠して下さっています。ありがたし。「鬼婆献立」でなくて良かったと思いました(笑)。

智恵子生家からそう遠くない、上川崎地区にある市立川崎小学校さんのサイトから。

ほんとの空献立

9月22日
この日の給食は、6年生が考えた「ほんとの空献立」でした。
内容は、さつま芋ごはん、県産鮭の西京焼き、ほうれん草のソテー、きのこ汁、巨峰、牛乳です。
家庭科の授業で学んだことを活かして、秋の味覚たっぷりの栄養バランスのとれた献立を考えました。とてもおいしくいただきました。

画像が小さかったので、他を当たってみましたところ、智恵子の母校・市立油井小学校さんのサイトに大きく掲載されていました。
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秋らしいメニューですね。

さらに油井小さんによれば、献立を考えたのは川崎小さんの児童の皆さん、鮭は「阿武隈川メイプルサーモン」だそうです。定番の牛乳は、福島ときたら酪王さんかな、と思ったら、違いました(笑)。

平成30年(2018)の『福島県学校給食研究会栄養士部会会報』から。
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これによると、3年前にはすでに「ほんとの空献立」、実施されていたのですね。存じませんでした。個人的には「もずくスープエビ団子入り」が気になります(笑)。

ところで、昨今の学校給食は、やはりコロナ感染対策と云うことで、机は黒板に向けたまま、さらに「黙食」としているところが多いそうで、そういった部分では、子供たちもちょっとかわいそうですね。中にはその方が気が楽でいい、という子供もいるのでしょうが。

だいぶ収まってきたコロナ禍ですが、まだまだ油断は禁物。一日も早く収束・終息してほしいものです。

【折々のことば・光太郎】

学校に立ち寄る。上田先生日直。狭山茶を学校に進呈。生菓子を出して茶をいれて一緒にのむ。郵便物うけとりてかへる。


昭和24年(1949)1月14日の日記より 光太郎67歳

この日は、花巻電鉄で花巻町中心街に買い出しに行った帰りでした。蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋近くの山口小学校、郵便物は配達夫も学校までしか届けてくれないので、その受け取りのためなどでよく立ち寄った光太郎、お茶を出されることもしばしばだったため、茶葉を差し入れ。ささやかな心遣いですね。