都内から映画上映会の情報です。

第 43 期江東シネマプラザ「智恵子抄」

期 日 : 2021年9月25日(土)
会 場 : 古石場文化センター 東京都江東区古石場2丁目13−2
時 間 : 午前の部 11時開演  午後の部15時開演
料 金 : 500円

名監督・小津安二郎は深川で生まれ、深川の風景を愛しました。古石場文化センターでは小津監督作品の上映機会や紹介展示コーナーを設けています。「江東シネマプラザ」は名画を楽しむ会員制の上映会です。
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智恵子抄

詩人・彫刻家の高村光太郎が愛妻 智恵子を偲んでうたった詩集『智恵子抄』の映画化。夫を深く敬愛しながら、芸術の才能の限界や身内の度重なる不幸により傷つき、智恵子は精神を病み、衰弱していく。主演の原節子が小津監督作品とは異なった表情を魅せる。

監督 / 熊谷久虎 出演 / 山村聡、原節子 1957 年/ 97 分/モノクロ

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基本、年間会員を募り、月1回、名画系の上映会を行っている一貫での実施です。したがって、年間会員が優先で、1回のみの鑑賞も受け付けているとのこと。また、空席がある場合、当日受付も可だそうです。

光太郎が歿した翌年の昭和32年(1957)に封切られた、原節子さん主演の「智恵子抄」。コロナ禍前は、何だかんだで、年に1,2回、全国のどこかしらで上映があった感じですが、久しぶりだな、という気がします。

ところで、当会で年2回発行している冊子、『光太郎資料』。「光太郎回想・訪問記」という項を設け、生前の光太郎と交流のあった人々の回想などのうち、光太郎関連の書籍にまとめられていないものを載せています。10月発行予定の第56集では、「座談会 三人の智恵子」。光太郎が歿した昭和31年(1956)から翌年にかけ、「智恵子抄」二次創作が相次いで行われ、その関係者による座談会です。昭和32年(1957)6月1日『婦人公論』第42巻第6号に掲載されました。
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司会は武智鉄二。新作能「智恵子抄」の演出を手掛けました。「三人の智恵子」は、初代水谷八重子さん、原さん、そして新珠三千代さん。それぞれ、新派の舞台、映画、テレビドラマで智恵子役を演じた方々です。

その中の一節、原さんの発言から。

私は自分の力を知ってますから、自分でしたいとは思わなかったんです。ですから、五年ほど前会社で企画が出たとき、私は自信がないからとお断りしたんです。じゃ五年後の今は自信が出たのかというと、そういうわけじゃないのですが、ただ美しい映画が出来ればいいと思って、ですから私じゃなくてもいいと思うけれど、たまたまそういうお話になって……。今度は私が一番まずいんです、ハイ。ですけれども光太郎さんをやられる山村さんという方が、雰囲気をもっていらっしゃる方ですし、それに映画は、一人まずくても大分まわりでカバーしてくれますから。(笑)

「山村さん」は、光太郎役の山村聰さん。戦時中にはラジオで光太郎の翼賛詩朗読にあたったりもされました。

原さん、だいぶ謙遜されていますが、それなりに見応えのある作品です。コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

午前十時過学校行。山口小学校開校式落成式。盛大。余もお祝のことばをよむ。

昭和23年(1948)12月3日の日記より 光太郎66歳

昨日に引き続き、蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋近くの山口小学校関係。分教場から小学校に昇格し、新校舎の落成式と開校式がセットで行われ、光太郎も招かれました。

「お祝のことば」。詩として『高村光太郎全集』第3巻に収録されています。全集刊行時点では、光太郎生前に活字になった記録がなかったのですが、地方紙『花巻新報』の、山口小学校落成式を報じた記事に掲載れていたのを確認しました。
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